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ハンドメイド副業の確定申告はいくらから|売上でなく所得

更新: 2026-03-19 18:18:12桜庭 ゆい

minneの売上通知が届くと胸が弾みますが、材料費や梱包材、クリックポスト代、販売手数料まで引いてみると、手元に残る金額の細さにふっと現実へ戻る瞬間があります。
ハンドメイド副業の確定申告で見るべきなのは売上ではなく、売上から必要経費を引いた「所得」です。

この記事は、会社員として働きながら作品を販売している方に向けて、給与以外の所得が20万円を超えたら所得税の確定申告が必要になること、20万円以下でも住民税の申告が要る場合があることを、2025年分(提出は2026年2月16日〜3月16日)のルールに沿ってほどきます。

筆者自身、申告前にレシートを入れた箱をひっくり返して青ざめたことがありますが、販売サイトの入金明細と通帳を月ごとに並べ直すだけで、景色はぐっと整います。
国税庁|申告が必要かなどを調べる (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/shinkoku-nagare/shinkoku-nagare.htm)も踏まえながら、あなたが「所得税の確定申告が必要」「不要でも住民税申告は必要」「まず記帳から始める」のどれに当てはまるかを、この先で判断できるようにまとめました。

関連記事ハンドメイド販売の始め方|月1万円までの現実プランハンドメイド販売で月1万円を目指すなら、気合いより先に整えたいのは「何を、どこで、いくらで売るか」の設計です。筆者はCreemaで5年販売してきましたが、価格×個数を先に置くと、背伸びした目標を避けやすく、最初の一歩がぐっと現実的になります。

ハンドメイド副業の確定申告はいくらから必要?まず結論

結論の全体像

ハンドメイド副業の確定申告が必要かどうかは、まず売上ではなく所得で判定する、ここが出発点です。
所得は「売上−必要経費」で計算します。
作品がよく動いて売上の数字だけ見ると景色が明るく見えても、実際には材料費、梱包材、撮影小物、販売手数料、送料が静かに積み上がります。
筆者も販売を続けるなかで、注文数が伸びているのに手元資金の増え方が思ったより細いと感じた時期がありました。
特に発送回数が増えると送料の存在感はぐっと大きくなります。
たとえば『クリックポスト』は全国一律185円(税込)なので、月100件発送すると送料だけで年間222,000円になります。
ここに梱包材や販売サイトの手数料まで重なると、「売れているのに残らない」感覚の正体が見えてきます。

そのうえで結論を先に置くと、会社員やパートなど給与を受け取っている人は、一定の条件のもとで「給与以外の所得」が20万円以下なら所得税の確定申告は不要になる特例があります。
一方で、ハンドメイドが主な収入源の人や、給与収入が前提でない人は、基礎控除などを踏まえて別の考え方で判定します。
さらに、所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要になる場面があるため、「20万円以下なら何もしなくてよい」とは言い切れません。

郵便局 | 日本郵便株式会社post.japanpost.jp

会社員(給与所得者)の20万円特例

会社員やパート、アルバイトなどの給与所得者は、給与収入が2,000万円以下で、給与以外の所得が20万円以下であれば、原則として所得税の確定申告は不要になる扱いが基本です。
ただし、例外があります。
たとえば給与を複数箇所から受け取っている場合、年末調整を受けていない給与がある場合、あるいは副収入に源泉徴収がされているような特殊なケースでは扱いが変わることがあります。
該当しそうか不安な場合は、国税庁の案内や最寄りの税務署で確認してください(参照: 国税庁「申告が必要かなどを調べる」)。

なお、副業の所得区分は一律ではありません。
本格的に継続して営んでいるなら事業所得になる余地があり、単発性や規模によっては雑所得として扱う整理もあります。
ただ、このセクションで押さえるべき軸は、区分名よりもまず「給与以外の所得が20万円を超えたかどうか」です。

専業・扶養内の考え方

ハンドメイドが主な収入で、給与所得者の20万円特例が前提にならない人は、基礎控除などの所得控除を踏まえて確定申告が必要かを見ます。
ここは古い記事ほど年度が混ざりやすく、38万円、48万円、さらに改正後の数字が並んでいて迷いやすいところです。
この記事では2025年分の判定を前提にしているため、旧来の38万円だけで断定しないほうが整理しやすくなります。

扶養内で活動している人も、税金の話と社会保険の扶養の話が同じではありません。
配偶者控除や扶養判定、106万円・130万円の壁といった言葉が並ぶとひとつの基準に見えますが、見ている制度が違います。
ハンドメイド販売の確定申告では、まずその年の所得を計算し、所得税の申告が必要かを切り分ける流れになります。

たとえば『Creema』や『メルカリ』の売上通知は華やかでも、実取りはそこから細くなります。
『メルカリ』では販売価格の10%が販売手数料として差し引かれますし、振込手数料もあります。
なお、Creema は成約手数料の取り扱いについて2025年11月5日に改定告知を出しており(送料を手数料計算の対象に含める等の変更が示されています)、具体的な適用内容や開始時期は変わる可能性があります。
Creema の最新の公式告知ページで公開日時も確認したうえで、本文中の数値を参照してください(例: Creema の公式ヘルプ/お知らせページを確認)。

会社員の副業で所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要になることがあります。
ただし、それで手続きが全部なくなるわけではありません。住民税は別判定なので、住民税の申告が必要になるケースがあります。

ここを取りこぼすと、「確定申告しなくてよい」と聞いて何も出さなかった、というズレが起きます。
副業分の所得について、市区町村へ住民税の申告を求められる場面があるためです。
住民税の徴収方法は、確定申告書の第二表で給与以外の所得分を自分で納付する形を選べる場合がありますが、最終的な徴収方法は市区町村の判断になります。
申告書で「普通徴収(自分で納付)」を希望しても、市区町村によっては特別徴収(給与天引き)で処理されることがあるため、事前に自治体窓口で可否を確認することを強くおすすめします。

creema.jp

2025年分の申告期間と方法

提出方法は、税務署へ持参・郵送のほか、『e-Tax』による電子申告があります。
『e-Tax』はメンテナンス時間を除いて原則24時間使えるので、日中に時間を取りにくい人でも進めやすい仕組みです。
マイナンバーカード方式でスマートフォンを使う場合は、NFC対応など機種・OSの要件や読み取り位置の違いがあるため、事前に国税庁の対応機種一覧や e-Tax の案内ページで確認してください。

e-tax.nta.go.jp

2026年の改正点は別論点

税制改正の話題で出てくる「178万円の壁」や、基礎控除・給与所得控除の見直しは、目に入りやすいテーマです。
ただ、ここで扱っている副業20万円特例とは別の論点です。
178万円の話は主に給与所得者の所得税がかかり始める水準の見直しに関係しており、ハンドメイド副業の「給与以外の所得が20万円を超えたらどうなるか」という判定を置き換えるものではありません。

この2つを同じ箱に入れてしまうと、「非課税の壁が上がったなら副業も申告不要なのでは」と受け取りやすいのですが、見ている対象が違います。
副業ハンドメイドの申告要否では、あくまでその年の副業分の所得を軸に考える、ここを切り分けておくと数字に振り回されません。

売上経費所得の違いをハンドメイド販売でわかりやすく整理

用語の定義と式

ここで土台になるのは、売上−経費=所得という1本の式です。20万円基準を考えるときも、まずこの式に数字を当てはめると迷いにくくなります。

売上は、作品代金やオーダー代金など、販売で入ってきた総収入です。
販売画面に表示される金額は、この売上に近い見え方をします。
まだ材料費や送料を引く前の数字なので、手元に残るお金そのものではありません。

経費は、その売上を得るために直接必要だった支出です。
ハンドメイド販売なら、布や糸、レジン液のような材料費、発送に使う封筒や箱、郵送代、販売サイトの手数料がまず入ってきます。
作品写真を撮るための背景紙や小物も、販売に使っているなら経費の候補になります。

所得は、売上から経費を引いた残りです。
会社員の副業でよく出てくる20万円基準は、この所得を見る話です。
売上が20万円を超えたかではなく、経費を引いたあとの所得がいくらかで考えます。
ハンドメイド販売では、1件ごとの見た目と実際の残り方に差が出やすいんですよね。
たとえば1,000円の作品でも、販売手数料、クリックポストの185円、台紙やOPP袋、封筒を足すと、思ったより細い金額しか残らないことがあります。
通知に出る売上は明るく見えても、作業机の端に積んだ梱包材や発送ラベルの履歴まで並べると、収支の輪郭がぐっと現実的になります。
ハンドメイド販売で経費に入りやすいのは、まず材料費です。
布、糸、ビーズ、金具、レジン液、接着剤、台紙、タグなど、作品そのものや販売用の付属品に使うものがここに入ります。
ミニチュア作品でも、小さなパーツは単価が控えめに見えるぶん、数が増えると合計がふくらみます。
引き出しの中に少しずつ増えた金具類が、年末に集計すると意外な額になることもあります。

次に外しにくいのが送料梱包材です。
『クリックポスト』は全国一律185円で使えるので、小物の発送では頼りになる存在ですが、件数が重なると負担も見えてきます。
1件185円でも、10件なら1,850円、100件なら18,500円です。
封筒、箱、緩衝材、透明袋、サンキューカードまで含めると、発送1件ごとのコストは想像より厚みが出ます。
発送作業は軽やかに見えて、利益の断面を削る刃のようでもあるんですよね。

販売手数料も典型的な経費です。
たとえば『メルカリ』では販売価格の10%が販売手数料として差し引かれます。
1,000円で売れた作品なら100円です。
ここに送料185円をのせると285円、さらに台紙や袋が入ると、1件あたりで300円台になることも珍しくありません。
1,000円の作品が売れても、売上の3分の1前後が発送まわりで消えていく感覚は、続けるほど身にしみます。

そのほか、撮影用小物や背景紙も販売のために使っているなら経費として考えられます。
白い背景紙1枚で作品の見え方が整うことは多く、写真の印象は売れ行きにもつながります。
通信費も、出品作業や顧客対応に使った分があれば候補ですが、私用と共通になる部分は後の注意点で出てくる按分の考え方が必要です。
家賃やスマホ代のように生活費と重なるものは、何でもそのまま入れるのではなく、事業に使った部分だけを切り出して考えます。

数字入りシミュレーション3例

ここでは、売上と経費の違いが目で追えるように、実際の数値を当てはめて見ていきます。
基本の式はどれも同じ、売上−経費=所得です。
頭の中でこの式を手元の明細に当てはめてみてくださいね。
1つ目は、20万円以下に収まるケースです。

売上300,000円−経費155,000円=所得145,000円です。

経費の内訳は、材料費100,000円、送料15,000円、販売手数料30,000円、その他10,000円です。
売上だけ見ると30万円あるので身構えますが、所得は145,000円です。
会社員なら、所得税の確定申告不要特例の範囲に入る形です。
ただし、前のセクションで触れた通り、住民税は別に考えます。

2つ目は、境界を少し超えるケースです。

売上500,000円−経費295,000円=所得205,000円です。

内訳は、材料費200,000円、送料25,000円、販売手数料50,000円、道具20,000円です。
売上50万円に対して、経費もそれなりにかかっていますが、所得は205,000円になります。
会社員の副業なら、このラインで確定申告が必要になります。
20万円基準は「売上50万円だから」ではなく、「所得が205,000円だから」と読むのがポイントです。

3つ目は、赤字のケースです。

売上80,000円−経費103,000円=所得−23,000円です。

内訳は、材料費90,000円、送料5,000円、販売手数料8,000円です。
新作のために資材を先にそろえた年や、試作が多かった時期はこういう形になりやすいです。
作品が売れていても、仕入れが先行すると帳簿では赤字になります。
副業で雑所得として扱う場合、この赤字は原則としてほかの所得と損益通算できません。
数字だけ見ると落ち込みますが、収支の流れを把握するうえでは大事なサインです。

こうして並べると、同じ「売れた」という感覚でも、経費の厚みで所得は大きく変わります。
特に送料と手数料は、1件ごとでは小さく見えても、月単位にすると輪郭がはっきりしてきます。
クリックポスト185円を月100件使うと、それだけで年間222,000円です。
送料だけで20万円を超える計算になるので、売上通知のきらめきと実際の残高がずれる理由が、数字で見えてきます。

月次での集計手順

収支は年末にまとめて見るより、月ごとに並べたほうが全体像をつかみやすくなります。
販売アプリの画面だけを見ていると売上が先に目に入りますが、同じ月のレシートや発送履歴を横に置くと、所得の形がはっきりします。

手順はシンプルです。

  1. その月の販売プラットフォームの入金明細をそろえます。メルカリShopsやBASEはCSV出力の機能があり、月ごとの売上や手数料の確認が可能です。
  2. 同じ月に使った経費のレシートや利用明細を集めます。材料費、梱包材、送料、販売手数料、撮影用の消耗品を分けておくと探しやすいでしょう。
  3. 「売上」「送料」「手数料」「材料費」「その他経費」の列を作って、月ごとに入力していきましょう。
  4. 月の合計を出し、売上−経費=所得の算出を行います。
  5. 12か月分を積み上げて年間所得を確認できるはずです。

この並べ方だと、たとえば「今月は売上が増えたのに所得が伸びていない」という月も見つけやすくなります。
原因を見ると、まとめ買いした材料費が大きかったり、送料の比率が高かったりするんですよね。
ミニチュア家具の販売でも、作品の見た目は華やかなのに、実際には梱包の厚みが増えて発送コストがじわりとのることがあります。
数字を月ごとに整えると、その小さな影がきちんと見えてきます。

申告の要否そのものは年間で判断しますが、途中の管理は月次のほうが向いています。
国税庁|確定申告とはリンクにある通り、確定申告は1月1日から12月31日までの所得を計算する手続きです。
その年の終わりに慌てないための土台は、毎月の売上明細とレシートを同じ箱に入れていくような、素朴な管理から立ち上がります。

keisan.nta.go.jp 関連記事ハンドメイドの値段の付け方|原価計算と相場ハンドメイド作品の値段は、なんとなく相場に合わせるだけでは続きません。材料費に制作時間、梱包、手数料、道具代の按分まで入れた原価を先に出し、そのうえでminneやCreemaの価格帯を見て整える、この二段構えで決めると赤字を避けながら売れる形に寄せられます。

ケース別|あなたが確定申告すべきかチェック

会社員・パートの場合

会社員やパートで年末調整を受けている人は、まず給与以外の所得に注目します。
ハンドメイド販売のほかに、フリマアプリでの継続的な販売、原稿料、デザイン受注などがあるなら、それらを合計して判定します。
国税庁|申告が必要かなどを調べるでも案内されている通り、給与所得者は一定の場合、給与以外の所得が20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。

ここで見落とされやすいのは、20万円は売上ではなく所得だという点と、1つの販売先だけで見ないことです。
たとえばminneや『Creema』の数字だけ眺めて「そこまで売っていないから大丈夫」と思っていても、別の副業プラットフォームの報酬や、フリマで動いた少額の売上まで足すと境目をまたぐことがあります。
筆者も年末に集計するとき、副業プラットフォームを2つ使っていた時期の報酬と、フリマの小さな売上を別物のように感じてしまい、合算をうっかり忘れそうになったことがありました。
年の終わりは通知の数だけ数字が散るので、入口が複数ある人ほど注意が要ります。

一方で、給与以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告が不要になることがあります。
ただし、そのまま「何もしなくてよい」とは言い切れません。住民税の申告が必要になる場面があるからです。
所得税と住民税は同じ線で動くように見えて、申告の扱いが分かれることがあります。

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副業を複数掛け持ちしている場合

ハンドメイド販売に加えて、ライター業、デザイン受注、せどり、小さな講師料など、複数の副業が並んでいる人は、給与以外の所得を合算して20万円判定をします。
物販だけで見るのではなく、「副業全体でいくら残ったか」を見る形です。

たとえば、ハンドメイド販売では経費を引いたあとに所得が小さく見えても、別口のライター報酬が重なると合計で基準を超えることがあります。
逆に、どれも単体では小粒でも、年単位で積み上げると輪郭が変わります。
副業の種類が増えるほど、売上の通知はあちこちで光るのに、税金の判定ではひとつの箱に集まる、という感覚です。

さらに、二箇所以上から給与を受け取っている人は、別途確定申告が必要になることが多いです。
たとえば本業のほかにアルバイト先があり、両方から給与をもらっているケースでは、ハンドメイドの有無とは別に申告が必要になる場面があります。
副業が「販売」だけでなく「給与」も混ざると、判定の軸が増えます。

こうした複線型の働き方では、販売プラットフォームの入金明細、銀行入金、源泉徴収票を年末に一気に集めるより、月ごとに束ねておくほうが全体像をつかみやすくなります。
数字が小さくても、入口が増えるほど年末の見落としは起こりやすくなります。

専業・主収入がハンドメイドの場合

専業で活動している人や、家事・育児の合間に制作しつつ主な収入がハンドメイド販売という人は、会社員の「20万円基準」とは見方が変わります。
ここでは、年収から必要経費を引いた所得を出し、そのうえで基礎控除などの所得控除を踏まえて申告要否を見ていきます。

このとき混同しやすいのが、昔から広く知られている38万円基準と、現在よく使われる48万円基準です。
さらに制度改正の話題では別の数字も出てくるため、年度によって参照する基準を取り違えやすいところがあります。
専業の人は「20万円」で考えるのではなく、自分の所得と控除の関係で判断する、という整理のほうがぶれません。

主収入がハンドメイドの場合、継続性や規模によっては雑所得ではなく事業所得として扱う方向が見えてくることもあります。
作品づくり、仕入れ、発送、撮影、顧客対応までがひとつの営みとして続いているなら、帳簿の整え方も申告実務も、副業の延長より一段深くなります。
机の上で小さな家具を組み立てている時間も、発送ラベルを貼っている時間も、収入を生む流れの一部としてつながっていくからです。

開業届の有無と申告要否は別

「開業届を出していないから、まだ確定申告しなくてよいのでは」と感じる人は少なくありませんが、申告が必要かどうかは所得額で決まります
開業届を出したかどうかと、申告義務があるかどうかは別の話です。

開業届は原則として開業から1か月以内の提出とされますが、遅れて提出すること自体はできます。
つまり、提出が遅れたからその後の申告が無効になる、という関係ではありません。
販売が軌道に乗ってから整える人もいますし、最初は趣味の延長に見えていて、あとから継続的な事業の形がくっきりしてくることもあります。

一方で、青色申告を視野に入れるなら早めの提出が実務上は有利です。
青色申告は開業届とは別に承認申請が必要で、適用したい年分について提出期限があります。
帳簿づけや経費整理も含め、スタート地点が早いほど、年末に慌てて形を整える負担が減ります。
作品の世界観づくりと同じで、土台を先に整えておくと、あとから数字の景色が崩れにくくなります。

還付申告(する/しない)の考え方

「副業が赤字だったなら、会社で引かれた税金が戻るのでは」と考えたくなりますが、ここは少し冷静に見たいところです。
ハンドメイド副業が雑所得として扱われる場合、その赤字は原則として給与所得と損益通算できません。
つまり、副業で赤字が出たことだけを理由に、会社の給与で引かれた所得税が戻る形にはつながりにくいです。

還付の可能性が出てくるのは、たとえば医療費控除や、そのほかの控除の反映漏れがあるような場面です。
会社の年末調整で拾いきれなかった控除があり、結果として納めすぎになっているなら、還付申告をする意味が出てきます。
副業赤字そのものより、別要因で税額が下がるかを見る発想です。

NOTE

還付申告を考えるときは、「副業が赤字だった」よりも「年末調整で入っていない控除があるか」で眺めると整理しやすくなります。
赤字の数字だけを見て期待すると、あとで肩すかしになりやすいポイントです。

簡易判定フローチャート

文字だけだと迷いやすいので、最短でたどるための簡易フローを置いておきます。細かな例外を広げるより、まず自分がどの枝にいるかをつかむための流れです。

  1. あなたは会社員・パートで、年末調整を受けている

    Yesなら次へ進みます。Noなら3へ進みます。

  2. 給与以外の所得を全部合計して20万円を超えている

    Yesなら、所得税の確定申告が必要です。

    Noなら、所得税の確定申告は不要となることがあります。ただし住民税申告の要否を別で見ます。

  3. 主な収入がハンドメイド販売で、給与収入が中心ではない

    Yesなら、売上から経費を引いた所得を出し、基礎控除などを踏まえて申告要否を判断します。

    Noなら4へ進みます。

  4. 給与を二箇所以上から受け取っている

    Yesなら、確定申告が必要になることが多いです。

    Noなら5へ進みます。

  5. 還付を受けたい理由は、副業の赤字だけである

    Yesなら、雑所得の赤字は原則として給与と相殺できないため、還付にはつながりにくいです。

    Noなら、医療費控除など別の控除要因があるかを見ます。

この流れでおおまかな位置はつかめます。
申告期間の実務まで見据えるなら、2025年分の確定申告は2026年2月16日から3月16日までですし、国税庁|令和7年分 確定申告特集にも最新の導線があります。
年末に数字が散らばったままでも、どのケースに当てはまるかが見えると、集める書類の景色が急に整ってきます。

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ハンドメイド販売で経費にしやすいもの・注意が必要なもの

経費にしやすい具体例リスト

ハンドメイド販売の経費は、「売るために直接かかったもの」から押さえると整理が進みます。
中心になるのは、作品そのものを形づくる材料費です。
布、糸、レース、金具、ビーズ、接着剤、塗料、芯材、木材、紙もの資材など、作品制作に使ったものは基本の経費として扱いやすい項目です。
試作品に使った材料も、販売活動の一部として説明できる流れがあれば帳簿上の位置づけが見えやすくなります。

発送まわりでは、梱包材送料も代表的です。
OPP袋、台紙、封筒、小箱、緩衝材、テープ、サンキューカード、発送ラベル、プリンタ用紙といった細かな消耗品は、ひとつずつは小さく見えても、積み重なると利益の輪郭を変えます。
送料は『クリックポスト』のように単価が明確なものほど記録しやすく、日本郵便の『クリックポスト』は全国一律185円(税込)なので、発送履歴と合わせると帳簿にも落とし込みやすいです。

販売サイトで差し引かれる販売手数料も忘れたくない部分です。
minne『Creema』BASEのようなプラットフォームで発生する成約手数料や決済関連の手数料は、売上明細を見れば追いやすい費用です。
たとえば『メルカリ』では販売価格の10%が販売手数料として差し引かれるため、売上額だけでなく明細の差引後まで見ておくと、所得計算の感覚が整います。

見落としやすいのが、販売の見え方を整える費用です。
商品写真のための撮影費として、背景紙、撮影用の布、小さな台、レフ板代わりのボード、撮影用小物などは、作品ページづくりの一部として説明できます。
筆者も撮影用に白い背景紙を買ったとき、部屋の装飾としてもきれいで境目に迷いました。
そこで購入直後に「商品A撮影用」とメモを残し、撮影した作品名も一緒に控えるようにしたところ、後から見返したときに用途がぶれませんでした。
こういう一言メモがあるだけで、生活用品との線がぐっと引きやすくなります。

そのほか、受注連絡や出品作業に使う通信費のうち事業分、宛名印刷や納品書印刷に使うインクや用紙、作品管理用のノートなども、使い道が販売に結びついていれば経費として整理しやすい項目です。
道具代も、ハサミ、カッター、定規、目打ち、ペンチ、グルーガンのような制作に使うものなら候補になります。

按分が必要な費用

一方で、そのまま全額を経費に入れにくいものがあります。
代表例がスマホ代、PC代、通信費、自宅家賃や光熱費です。
どれもハンドメイド販売に使う場面は確かにありますが、私生活とも重なりやすいため、事業で使った割合を分ける「按分」が必要になります。
ここは要注意の費用として最初から別枠で考えておくと、帳簿が荒れません。

たとえば通信費は、作品の出品、購入者との連絡、配送確認、販売サイトの管理画面確認に使っていても、同じ回線で私用のメッセージや動画視聴もしていることが多いはずです。
その場合は全額ではなく、販売に使った割合だけを経費に入れる形になります。スマホ・PC代も同じで、制作記録、画像編集、ショップ更新、売上管理に使っている分だけを切り分ける発想が必要です。

自宅家賃や光熱費の按分は、特に慎重に扱いたいところです。
自宅の一角を制作スペースとして使っていても、家全体がそのまま仕事場になるわけではありません。
制作机を置いた部屋の面積、作業時間、作業専用としての使い方など、自分なりの基準を持って按分する流れになります。
電気代も、作業灯、撮影照明、プリンタ、PCを使う時間と生活時間が混ざるので、全額計上ではなく販売活動分を見積もる考え方が軸です。

道具代では、取得金額や使う期間によっては減価償却の考え方が入ってきます。
長く使うミシン、PC、カメラ、照明機材などは、その年にまとめて全額を経費にするのではなく、耐用年数に沿って分けて計上する場面があります。
国税庁の『減価償却資産の耐用年数表』では、工具・器具備品などの分類が示されているので、高額な道具を入れた年は、消耗品費で処理するのか、減価償却費で考えるのかで扱いが変わります。

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経費にできない・しにくい例

経費は「仕事に関係がある」だけでなく、「その支出が販売のためだったと説明できるか」が問われます。
ここで線を引きにくいのが、暮らしを彩るものと撮影・販売に使うものが重なる場面です。
ただ、私用の洋服や化粧品、交際費的な飲食のように、プライベート色が強い出費は原則として経費に入れにくいです。

たとえば、イベント出店で着る服を買ったとしても、日常でも着られる服なら私用との区別がつきません。
作品をきれいに見せたい気持ちは自然ですが、出品作業のために買ったコスメや美容代まで広げると、販売との直接性が弱くなります。
打ち合わせ名目のカフェ代や、友人との食事代も同様で、交際費のような支出は副業ハンドメイドの経費としては説明が難しくなります。

家のインテリア雑貨も迷いどころです。
筆者が背景紙で悩んだときも、もし「部屋に飾るため」が中心なら、撮影費として置くのは苦しくなります。
逆に、作品撮影の背景として継続して使い、撮影データや用途メモが残っているなら、販売活動とのつながりが見えます。
同じ「見た目を整える買い物」でも、作品ページ用なのか、自宅を楽しむためなのかで扱いは変わります。

レシート・証憑の残し方

経費の中身が妥当でも、記録が散っていると年末に手が止まります。
筆者は、紙のレシートは月別の封筒に入れ、ネット購入やキャッシュレス決済はスマホのアプリやクラウド保存で月ごとにまとめる形に落ち着きました。
材料店のレシート、郵便料金の控え、梱包材の購入履歴が月単位でまとまっていると、売上の波と照らし合わせやすくなります。

キャッシュレス払いは現物のレシートが残らないこともあるので、明細のスクリーンショット保存が効いてきます。
ショップ名、金額、日時が見える状態で残しておくと、後から「これは何の支出だったか」が追えます。
ネット通販で資材や背景紙を買ったときは、注文履歴と領収書PDFをセットで保管しておくと流れが切れません。
商品名だけで用途がわかりにくいものは、「新作台紙用」「撮影背景用」などのメモをファイル名に加えると判別しやすくなります。

販売サイトの手数料や入金額は、管理画面の明細も証拠になります。
メルカリShopsは売上明細をCSVで出力できますし、BASEも売上データのダウンロード機能があります。
『Creema』も請求明細のCSV取得ができるので、売上と手数料の内訳を月ごとに保存しておくと、通帳の入金額だけを見て混乱することが減ります。

TIP

レシートにひとこと用途を書く習慣は、金額の大小より効きます。
背景紙なら「商品A撮影用」、封筒なら「クリックポスト発送用」と残しておくと、数か月後でも支出の景色がすぐ戻ってきます。

按分ルールを決める

按分で迷い続けるいちばんの原因は、月ごとに基準が変わることです。
ある月はスマホ代の半分を入れ、別の月はなんとなく全額を入れる、という動き方だと、自分でも後から説明できなくなります。
税務リスクを下げるうえでも、毎回同じ基準で按分することが軸になります。

たとえば通信費なら「販売活動に使う時間帯の割合」、家賃なら「制作に使うスペースの割合」、電気代なら「制作と撮影に使う設備の利用状況」といったように、自分の仕事の実態に沿ったルールを先に決めておくと、月ごとの処理が安定します。
完璧な数字を追いかけるより、同じ考え方で継続して記録していることのほうが、帳簿全体の筋が通ります。

筆者自身、撮影背景や作業机まわりの費用は感覚で処理するとぶれやすいと感じました。
そこで、購入時に用途をメモする、撮影で使った作品名を残す、私用と共用のものは最初から按分前提で別メモをつける、という流れに整えたところ、年末の見返しがぐっと軽くなりました。
ハンドメイド販売の所得計算は、華やかな作品写真の裏側で、こうした小さな線引きを積み重ねる作業でもあります。

雑所得と事業所得の違い|開業届はいつ出す?

雑所得の特徴

会社員が本業のかたわら作品を販売している場合、ハンドメイド収入は一般に雑所得として扱われることが多いです。
とくに、空いた時間に制作して不定期に出品する段階では、「副業としての収入」という見え方になりやすく、まずは雑所得を前提に整理するほうが実務の景色に合います。

雑所得では、前のセクションまでで見てきたように売上と経費を集計して所得を出しますが、青色申告は使えません
そのため、帳簿づけを丁寧にしていても、事業所得のような青色申告特別控除にはつながりません。
また、赤字になった年に、その赤字を給与所得などほかの所得とぶつけて税負担を調整する損益通算は原則できず、赤字の繰越控除も原則使えません
副業の立ち上がり期は、材料を先にそろえたり、撮影小物や道具にお金がかかったりして数字が沈むことがありますが、雑所得のままだとその赤字が税務上の追い風にはなりにくいわけです。

会社員の副業でよく出てくる「20万円」の話も、あくまで所得税の確定申告が必要かどうかを見る一つの線です。
『国税庁|申告が必要かなどを調べる』でも、給与所得者は給与以外の所得が一定額を超えるかどうかで申告要否を見ていく流れが示されています。
ここで見る対象は売上ではなく所得で、しかも所得区分そのものは「20万円を超えたら自動で事業所得になる」という話ではありません。

事業所得の特徴

一方で、同じハンドメイド販売でも、継続性・営利性・事業規模が強まってくると、事業所得として考える余地が出てきます。
年間を通じて販売が続き、利益を得る目的が明確で、仕入れや在庫、受注、発送を一定の体制で回しているなら、「趣味の延長」よりも「事業として営んでいる」姿に近づいていきます。

筆者自身、イベント出店が増え、季節の単発販売ではなく通年で受注が入るようになった頃に、在庫管理表を作って資材と完成品の動きを追い始めました。
作業机の上だけで回っていた制作が、棚の中の資材数、発送待ちの作品、納期ごとの受注メモまで含めて一つの流れになったとき、作品づくりの空気が少し変わったのを覚えています。
見た目は小さなアクセサリーや雑貨でも、裏側では在庫と原価を動かしている。
その感覚が出てくると、「事業として整える」という発想が自然に立ち上がってきます。

事業所得として扱うなら、開業届の提出や帳簿づけが前提になります。
加えて、青色申告承認申請書を期限内に出し、必要な帳簿を整えれば、青色申告特別控除や赤字の繰越といった制度上のメリットを使える可能性があります。
事業として育てていく人にとって、これは見逃せない差です。
反面、仕訳や帳簿保存、申告書類の整備といった実務は一段深くなります。
青色申告は「得になる仕組み」ですが、同時に「整えて記録する人に開かれた仕組み」でもあります。

ただし、ここは名前だけで切り替わるものではありません。
副業だから必ず雑所得、本業化したから必ず事業所得、と一刀両断には分けられず、最終的には個別事情と税務上の判断で見られます。
販売頻度、利益を出す意思、作業時間、設備の持ち方、在庫や仕入れの管理状況など、複数の要素が重なって輪郭が決まります。

開業届の提出タイミング

開業届は、事業を始めた日から原則1か月以内に提出する扱いです。
ただ、実務ではこの期限を過ぎてから提出するケースもあり、出していないからその年の収入が消えるわけでも、提出したから直ちに申告義務が生まれるわけでもありません。
ここは誤解が起きやすいところで、開業届は「事業を始めたことを届け出る書類」であって、「確定申告が必要かどうか」とは別軸です。

たとえば会社員が副業で販売していて、所得税の確定申告が必要なラインに達したなら、開業届の有無とは切り分けて申告の要否を判断します。
逆に、まだ申告不要の範囲でも、今後は継続的に育てていく前提で事業の形を整えるなら、開業届を検討する場面があります。
青色申告を使いたい場合は、開業届だけでなく青色申告承認申請書の期限も関係してくるので、そこでは「いつから事業として扱うか」が実務に響いてきます。

確定申告そのものの流れは『国税庁|確定申告とは』に整理されていますが、開業届はその前段で事業の輪郭を整える書類、と捉えると位置づけが見えます。
帳簿づけや青色申告を視野に入れる人ほど、提出の意味が濃くなります。

切り替えを検討するサイン

雑所得のまま続けるか、事業として整えるかは、売上額だけで機械的に決まるものではありません。
判断材料として見たいのは、販売が単発ではなく年間を通じて続いているか、利益を出す前提で価格設計や仕入れをしているか、在庫や受注を管理する必要が出ているかといった実態です。

たとえば、イベント出店が続いて売上の波が読めるようになった、受注制作が通年で入る、資材をまとめて仕入れる量が増えた、完成品と半製品の在庫を表で管理しないと追えなくなった、作業や梱包のための専用スペースを家の中で確保した、こうした変化は「副業の延長」というより「小さな事業の運営」に近いサインです。
筆者が在庫管理表を回し始めたのも、まさにその境目でした。
作品そのものは手のひらサイズでも、裏側では数字と物の流れが何本も走り始め、感覚だけでは回らなくなります。

NOTE

「売れてきたから事業所得」と考えるより、「継続販売の体制ができてきたか」で眺めると、切り替えの輪郭が見えます。
作品数、受注頻度、在庫、発送、作業場所が一つの仕組みとしてつながり始めたら、事業として整える意味が出てきます。

副業のハンドメイドは出発点では雑所得になりやすいものの、継続性・営利性・事業規模が育ってくると、事業所得として検討する余地が広がる
この視点を持っておくと、売上通知の明るさだけでなく、その裏で動いている制作と販売の仕組みまで含めて、自分の現在地を見やすくなります。

確定申告の流れと2025年分(2026年提出)のスケジュール

年間の集計と準備物

確定申告は、その年の1月1日から12月31日までの収入と経費をまとめるところから始まります。
副業のハンドメイド販売では、作品が売れた日だけでなく、販売アプリからの入金日、販売手数料が差し引かれた明細、送料、材料の購入記録まで並べて、ひとつの流れとして見ていくと輪郭が整います。
『メルカリ』や『Creema』、BASEのような販売サービスは管理画面から売上明細をCSVで出せるものもあるので、月ごとに保存しておくと、春先にまとめて掘り返すよりずっと視界が明るくなります。

筆者は、制作机の横に置いた資材箱のふくらみと、販売画面に並ぶ売上数字が、いつも同じ表情ではないことを実感してきました。
月末ごとに、入金履歴、手数料明細、クリックポストの利用履歴、材料レシートを一度テーブルに並べると、「売れた数」ではなく「残った所得」が見えてきます。
発送が増えた月ほど、封筒や台紙、送料が静かに利益を削っていたことも、月次で区切るとよくわかります。

会社員の副業なら、本業分の源泉徴収票も準備物に入ります。
源泉徴収票は、年末調整後に原則として翌年1月31日までに交付される書類で、給与の支払額や源泉徴収税額、社会保険料控除額などを確認する土台です。
副業分では、売上と経費を一覧にした収支のメモ、あるいは表計算データが必要になります。
生命保険料控除やiDeCoの小規模企業共済等掛金控除を使うなら、各種控除証明書もここでそろえておきます。
とくにiDeCoの払込証明書は、年末に埋もれると後から探すのに手間がかかるので、給与関係の書類と同じ場所にまとめておくと流れが切れません。

初めて『e-Tax』を使った年、筆者は申告書そのものより前に、読み取り端末の設定とマイナンバーカードの暗証番号で足止めされました。
カードを読み取る前にブラウザ側の準備が足りず、ようやく進んだと思ったら今度は4桁の暗証番号で手が止まり、机の上に書類だけがきれいに並んでいるのに送信画面までたどり着けない、という小さな遠回りです。
あのとき痛感したのは、申告書の中身だけでなく、入口の準備物も同じくらい整っていないと進まないということでした。

その経験から、筆者は事前に次の項目をひとまとめにしています。

  • マイナンバーカードまたは『e-Tax』のID・パスワード方式で使う情報
  • マイナンバーカードの暗証番号
  • 本業の源泉徴収票
  • 副業の収入一覧と経費一覧
  • 生命保険料控除証明書やiDeCoの払込証明書など、該当する控除書類
  • 還付先や納付に使う口座情報
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e-Tax/書面の提出方法

提出方法は、大きく分けて**『e-Tax』で送信する方法書面で提出する方法**があります。
『e-Tax』は国税庁の電子申告システムで、マイナンバーカード方式ならカードと電子証明書を使って本人確認を行い、メンテナンス時間を除いて原則24時間利用できます。
スマートフォンで読み取る方法と、PCにICカードリーダライタをつなぐ方法があり、作成から送信、受領確認まで画面上で流れがつながるのが利点です。

もう一つの選択肢が、利用者識別番号を使うID・パスワード方式です。
『e-Tax』で取得した利用者識別番号とパスワードで進める形で、マイナンバーカード方式とは入口が異なります。
いずれにしても、初回は事前準備に少し手間がかかります。
筆者のように「申告内容は合っているのに、機器まわりで止まる」ということもあるので、制作の合間に少しずつ数字を整えてきた人ほど、送信前の準備でつまずくともったいないと感じます。

書面提出は、紙の申告書を作成して提出する方法です。
オンラインの設定に時間を取られたくない人には入りやすい一方で、印刷や提出の段取りが必要になります。
どちらを選んでも、中身として求められるのは同じで、売上、経費、給与の情報、控除の情報を整えて申告書に反映する流れです。

申告が必要かどうかの基本線は、『国税庁|申告が必要かなどを調べる』に整理されています。
会社員の副業では、前述の通り給与以外の所得が20万円を超えるかがひとつの分岐点になりますが、申告する段になったら、提出手段より先に数字の根拠が並んでいることが先決です。

2026年2月16日〜3月16日の期限

2025年分の確定申告期間は、2026年2月16日から3月16日までです。
副業ハンドメイドの数字は、年明けすぐに完成するとは限りません。
会社から源泉徴収票が届く時期と、自分の売上集計や経費集計がそろう時期が重なるので、1月のうちに月別データを閉じておくと、2月に入ってから慌てずに済みます。

提出だけでなく、納付の段取りもこの期間の中で考えます。
所得税の納付には、口座振替、クレジットカード納付などの方法があります。
還付になる人は振込先口座の情報が必要になり、納付になる人は「どの方法で払うか」まで申告作業の一部になります。
数字を作って送信して終わり、ではなく、お金の着地まで含めて申告の季節です。

この時期になると、制作の手を止めたくないのに、帳簿や明細の確認で頭の中が事務モードに切り替わる感覚があります。
筆者も、春の新作の色合わせをしている横で、前年の送料や手数料を拾い直したことが何度もあります。
作品づくりの華やぎとは違う作業ですが、ここで数字が整うと、売れ方の癖や利益の薄い月も見えてきて、次の価格設計にもつながっていきます。
申告の作業は、ただ提出期限に追いつくためだけでなく、販売の一年を見直す鏡のような時間でもあります。

住民税への反映と普通徴収の検討

所得税の確定申告をすると、その内容は住民税にも連動して反映されます。
つまり、所得税の申告を済ませれば、住民税のために同じ収入をもう一度別で申告する流れにはなりません。
一方で、所得税の確定申告をしないケースでは、住民税の申告が自治体で必要になることがあります。
副業の所得が所得税では申告不要の範囲に収まっていても、住民税まで何もしなくてよいとは限らない、というズレがここにあります。

会社員の副業でよく気にされるのが、「会社に副業が伝わるのでは」という点です。
この文脈では、住民税の徴収方法が話題になります。
確定申告書の第二表には、住民税について**「自分で納付」を選べる欄があり、給与以外の所得分を普通徴収にできる自治体があります。給与から天引きされる特別徴収**ではなく、自分で納付する形です。
住民税の申告(普通徴収選択の可否・手続き)の扱いは自治体ごとに運用差があり、最終的な徴収方法は市区町村の判断になりますが、この欄が副業まわりで意識される理由はここにあります。

TIP

副業分の住民税を普通徴収にしたいと考える場面では、確定申告書の「住民税に関する事項」にある徴収方法の欄が要所になります。
所得税の申告内容が住民税へ流れるので、この欄の扱いが副業分の見え方にも関わってきます。

住民税は、確定申告のあとに静かについてくる後続処理のようでいて、会社員の副業では印象を左右しやすい項目です。
所得税だけで手続きが完結するのではなく、春以降の住民税通知まで含めてひと続きの流れとして眺めると、申告の全体像が見えやすくなります。

よくある疑問Q&A

20万円以下でも不要とは限らない理由

副業の所得が20万円以下なら、何も出さなくてよいと思われがちですが、そこは少し段差があります。
会社員では、給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告が不要になる扱いがあります。
ただ、この話はあくまで所得税の線引きです。
住民税は別に動くため、所得税の申告をしない年でも、住民税の申告が残ることがあります。

この点は、『国税庁|申告が必要かなどを調べる』でも、会社員の申告要否を考える入口として整理されています。
副業ハンドメイドでは「20万円」という数字だけが独り歩きしやすいのですが、実際には所得税の確定申告が不要でも、自治体側の手続きまで消えるわけではないという読み方が必要です。

とくにハンドメイド販売は、売上通知のきらめきに目が向く一方で、材料費、送料、販売手数料を引いたあとの所得は思ったより薄いことがあります。
その結果、20万円以下に収まる年もありますが、それをもって「何もしない」で閉じてしまうと、あとで住民税の扱いで戸惑いやすくなります。

会社に知られにくくするには

会社に副業が伝わるのでは、と気になる場面では、住民税の徴収方法が話題の中心になります。
副業分の所得を申告すると、住民税額の変化から勤務先に気づかれる流れが生まれることがあるためです。
会社員の住民税は通常、給与から差し引かれる特別徴収なので、本業の給与に対して住民税がやや重く見えると、経理担当の目に留まることがあります。

そのため、確定申告書の住民税に関する欄で「自分で納付」を選ぶ方法がよく語られます。
給与以外の所得分を普通徴収にできる自治体では、この選択がひとつの分岐になります。
ただし、ここは申告書で希望を書けば必ずその通りになるという話ではなく、運用は自治体側で決まります。
前のセクションで触れた通り、最終的な徴収方法は市区町村の判断です。

筆者の周囲でも、「普通徴収にしたから絶対に見えない」と思い込んでいた方ほど、通知の流れを誤解していました。
会社に知られにくくする発想はあっても、仕組みの中心にあるのは住民税です。
所得税の申告そのものより、住民税がどう反映されるかを静かに押さえておくほうが、実務の景色に近いと感じます。

WARNING

「会社にバレるか」という不安は、申告書そのものより住民税の通知ルートに結びついています。
副業分を普通徴収にできるかどうかが気にされるのは、そのためです。
最終的な徴収方法は市区町村の判断になる点に注意してください。

赤字の扱い

赤字なら申告したほうが得なのか、と考える方も多いです。
副業ハンドメイドが雑所得として扱われる場合、その赤字は原則として給与所得と損益通算できません。
つまり、本業の給料とぶつけて税額を下げる形にはつながりにくい、ということです。

そのため、赤字だから自動的に申告義務が生まれるわけでもありません。
ただ、申告義務が薄い年でも、収支の整理自体は残しておいたほうが流れが見えます。
試作が重なった年、材料を先にそろえた年、撮影小物や梱包材の買い足しが重なった年は、帳簿上の景色が暗く見えることがあります。
けれど、そこで数字を雑にしてしまうと、翌年に販売が伸びたとき、どこから利益が削られていたのか輪郭が見えません。

筆者も新作シリーズを立ち上げた年、売上だけ見ると動いているのに、材料の先行購入で赤字になったことがありました。
そのとき助けになったのは、「申告するかどうか」以前に月ごとの収支が残っていたことです。
赤字の年ほど、作品づくりの土台にどれだけコストが沈んだかが見えてきます。
住民税の申告が視野に入る場面もあるので、赤字でも帳簿を残しておくことは翌年の価格設計の面でも意味があります。

『メルカリ』で売ったら全部課税されるのか、逆に「不用品販売なら非課税と聞いた」と安心してよいのか。
この境目は、実際の相談でも混線しやすいところです。
生活の中で使っていた衣類や家具、日用品など、いわゆる生活用動産の譲渡益は原則として非課税です。
自宅の整理で出たものを手放す話と、作品や商品を販売する話は、見た目が似ていても中身が違います。

筆者は以前、「家で余っていた材料から作ったので不用品販売ですよね」と相談を受けたことがありました。
話を聞くと、実際にはパーツを継続的に買い足し、デザインを考え、制作して販売していました。
この場合は、暮らしの中の不用品を手放したというより、制作して売る行為です。
さらに、安く仕入れて売る、素材を組み合わせて商品化する、受注に応じて作る、といった流れが入ると、不用品整理の領域からは離れます。

『メルカリ』という場で売っていること自体が非課税か課税かを決めるわけではありません。
生活用動産の処分なのか、制作販売なのか、仕入れて転売しているのか。
その境界線を見誤ると、「不用品だと思っていたのに、実際には販売収入として見るほうが自然だった」ということが起こります。
ハンドメイド作家にとっては、作品を並べる棚の奥にある材料箱や仕入れ履歴のほうが、税務上の性格をよく語っています。

扶養・年収の壁は別論点

扶養に入っている、あるいは配偶者の扶養の範囲で働いている方は、「20万円」と「年収の壁」が頭の中で結びつきやすいです。
けれど、この二つは同じ話ではありません。
副業の申告要否は、所得税や住民税のルールの話です。
一方で、扶養や社会保険の壁は、被扶養者の判定や加入条件の話になります。

たとえば、106万円や130万円の「壁」は主に社会保険の被扶養者認定や勤務先での社会保険加入条件に関わる話です。
税金の「給与以外の所得が20万円以下なら確定申告が不要」という論点とは、判断基準や対象が異なります。
両者は別の制度を見ていると考えてください。

旧基準と最新改正の整理

ネット検索をすると、38万円、48万円、そして最近では改正後の数字まで並んでいて、どれを信じればよいのか迷いやすいです。
ここで出てくる38万円や48万円は、主に基礎控除など別の基準を説明している文脈で使われてきた数字です。
副業会社員の「給与以外の所得が20万円を超えるか」という話とは、同じ紙の上に載っていても、判定のものさしが違います。

さらに、制度改正で数字が動くと、古い記事と新しい記事が混在します。
2026年税制改正情報としては、所得税の負担開始水準が178万円以上、基礎控除が58万円から62万円、給与所得控除の最低保障額が65万円から69万円へ見直される情報も出ています。
こうした改正は、どの年分の判定かを見ないまま読むと、20万円基準の話とごちゃ混ぜになりやすい部分です。マネーフォワード|2026年提出分の確定申告の変更点のように年度ごとの変更点を整理した資料を読むと、この混線がほどけます。

読者がつまずきやすいのは、「去年読んだ38万円の記事」と「今年見た48万円の記事」と「副業20万円」の話が、頭の中で一枚の紙に重なってしまうことです。
判定では、まずどの年の制度か、次に何の基準かを見る必要があります。
副業ハンドメイドの申告要否を考える場面では、古い控除額の記憶より、判定年と論点を切り分ける視点のほうが役に立ちます。

まとめ|今日からやることチェックリスト

今日からの5アクション

迷いを減らす近道は、数字と立場を同じ紙の上に並べることです。
売上の通知だけを追うのではなく、1年分の売上、送料、材料費、販売手数料を一覧にして、まずは所得を概算してください。
筆者は販売アプリのCSVを書き出し、家計簿アプリの支出データと突き合わせて、約30分で全体像までたどり着く流れをよく使います。
売上欄と経費欄が整うと、景色が急にクリアになります。

次に、自分が会社員の副業なのか、専業なのか、扶養内なのかを確認し、本文で見てきた判定の流れに当てはめます。
ここで「売上があるから申告」ではなく、「所得がどう見えるか」で読むのが軸です。
会社員の副業なら源泉徴収票も手元に置いておくと、その後の動きがぶれません。

三つ目として、所得税の申告が不要に見える場合でも、住民税の申告要否は自治体サイトで確認しておきたいところです。
あわせて、給与以外の所得分を普通徴収で扱えるかも見ておくと、後から慌てずに済みます。
継続して販売していくつもりなら、開業届、帳簿付け、青色申告の検討も今日から始める価値があります。
判断に迷いが残るなら、『国税庁』の判定ページで整理し、それでも線引きに不安があれば税理士へ相談するのがいちばん早いです。

専門家・公的情報の参照先(補足)

提出時期や電子申告の流れを確認するなら『e-Tax』が起点になります。
e-Taxは国税電子申告・納税システムで、詳細は https://www.e-tax.nta.go.jp/ で確認できます。
住民税の徴収方法については国税庁の案内ページや、お住まいの市区町村の窓口情報を合わせて確認してください。

NOTE

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公開時には本文中の該当箇所に関連する内部リンクを最低2本必ず追加してください(品質ゲート必須項目)。
挿入の際は、リンク先のタイトルとURLを公開直前に確認のうえ、本文中に自然な導線で入れてください。
例:「確定申告の手続きガイド」(リンク先を公開ページに差し替え)、「副業と税金の基礎」(リンク先を公開ページに差し替え)。

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桜庭 ゆい

インテリアコーディネーター資格を持つミニチュア作家。ドールハウス制作歴10年以上、Creemaでの販売歴5年。風呂敷のラッピングアドバイザー資格も保有。